わたしに特攻してきた男の悲劇

 わたしに夢中になってしまう男は多いが、街のなかで男に声をかけられることは少ない。男って手頃な女には声をかけやすいけど、本気になってしまいそうな女には声をなかなかかけられないみたいだ。わたしが何とも思っていない男がしつこく口説いてきた。めんどうなので無視していると、男は無視されたことで余計に気持ちが高ぶってしまったようだ。毎日、メールを送ってくるようになった。わたしへの想いが書き連ねられている。直接的には書いていないけれど、わたしのからだにどうしても触りたいという気持ちがにじみ出ている。どんな男でもわたしとセックスしたいと思っているのはわかるが、もうその男とは口をきくこともないだろう。わたしにはっきりと拒絶されたからだ。男の全人格を否定してあげた。わたしへの想いを心に秘めたままで、しつこくしなければ、近くでわたしの顔を眺めることぐらいはできたのに、もうその男はわたしのそばによることもできないだろう。