癒しを与える女

男にとって、わたしは癒しを与える女とは正反対の存在だろう。わたしを取り巻く男たちは決して心が休まるときがないはずだ。いつも、わたしを他の男に取られてしまうのではないだろうかとか、わたしに嫌われてしまうのではないだろうかとか、なんとかしてわたしに振り向いてもらいたいとか、男たちにあるのは焦燥感だけだと思う。


癒される女と付き合った方が男に取っては幸せなのに、と思う。でも、わたしのことを好きになってしまった男は、何とかしてわたしを自分だけのものにしようとする。それは男にとって精神的にものすごく負担のかかる行為に違いない。常にわたしのことを考え、わたしがよろこびそうなことをしようとして必死になっている。男たちのそうした行為を受け入れてあげるときもあるけど、そんなことだけで、わたしの心が動かされるかどうかは別の話。そんなことだけでわたしが男に振り向くことはない。男が女に奉仕するのはあたりまえだから。


だから、わたしに魅せられてしまったばかりに、精神的に疲れてしまった男は時として情けない行動を取ることがある。泣いて子供がおもちゃをねだるように、ひざまずいて、どうしてもわたしのことが好きだと言って、わたしのからだにすり寄ろうとしたり、ストーカーのような行動に走ったりする。精神的に少しおかしくなってしまう男もいるみたい。どんなにつらくてもわたしのことがあきらめきれないのでしょうね。もし、こうした男たちが万が一にもわたしと付き合えることになったとしても、心が安らぐことなど決してないのに。それでもわたしのことがどうしてもあきらめきれないなんて、男の本能って単純なようで、複雑なのかもしれない。