下心を持つ男

何もしなくてもいいから、わたしのことを近くで見つめることができるだけで本望だという男がいる。でも、男にとって、わたしのことをそばで見つめることができるというだけで十分に贅沢なことだと思う。どんなに願ってもわたしのそばに寄ることすらできない男なんてたくさんいるのだから、わたしに自分の存在を認知してもらえるだけで多くの男は満足感を得るのでしょうね。


どこにいても、わたしはどうしても男の視線を集めてしまう。わたしがある組織に所属していたときのことだった。その組織をいくつかのチームに分ける必要があったのだけれど、チーム編成を担当した男たちはなんとかしてわたしのことを自分と関係のあるグループに入れたくて駆け引きを繰り広げたみたいだ。


結局、わたしはあるチームに入り、思惑通りにわたしをチームに入れることのできた男はわたしの気を引こうと頑張っていたみたいだ。でも、わたしはそんな下心が気に入らなかったので、その男の前で同じチームの他の男とわざと親しく振舞ってあげた。わたしが他の男とからだを軽く接触させたりするのを見て、下心を持ったその男はわたしが仲良くしてあげた男に何だかやきもちを焼いたようだ。段々とチームがぎくしゃくしてきてしまった。もっともわたしが仲良く振舞ってあげた男もわたしは特に好意を抱いていたわけではないのだけれど、からだを軽くさわってあげたのがいけなかったのか、その男もわたしに夢中になってきてしまった。


別になんとも思っていない男と親しくしてあげると、時に面倒なことになる。男の気持ちをもてあそんでるわけではないのだけれど、男から見るとそうみえることがあるのかもしれない。


それにしても、わたしに下心があって、わたしを自分のチームにいれた男は結局、わたしを手に入れることもできないまま、他の男に嫉妬したあげく、期待した成果も上げられなかった。自業自得なんだろうな。でも、少しの時間だけでもわたしのそばで過ごせたのだから、それはそれで男にとっては最高の時間だったのだろう。