名前に接触しただけで

わたしの名前を読んだり、聞いたりしただけで興奮してしまう男もいるのが面白い。名前からわたしのことを妄想してしまうのだろう。名前を聞いただけで、男たちはわたしの顔や体を思い浮かべる。そして、妄想のなかでわたしと触れあいたいと願う。そうしたことを繰り返すうちに、藤永絵美という言葉に接触しただけで、もうわたしのからだにでも触れているかのような感覚になるみたいね。


藤永絵美という言葉を何度も繰り返してノートに書いたり、ワープロで打ったりする男の心理ってわからない訳ではない。文字を書きながら、あるいはキーボードを打ち続けながら、ずっとわたしのことを想い続けているのでしょうね。


もし、そうした男たちがわたしの体を自由にできるとすれば、男たちは最高の快感を得ることになる。でも、残念ながら、そうした感覚はわたしにはわからない。ちょっとイライラする。