わたしと一緒に帰ろうとする男たち

 何かと理由を付けて、わたしと一緒に帰ろうとする男って多い。例えば、仕事だったり、飲み会だったり、打ち合わせだったり。多くの人たちといると、手を出せないけれど、帰り道が一緒で、帰る途中でわたしと一対一だけになれば、わたしに何かができるとでも思っているのでしょうね。わたしの家まで送っていきたいと思っている男が多くて嫌になってしまう。

 家まで送ってきた男を、わたしが自分の部屋に入れてあげるとでも思っているのかしら、と思う。男の妄想って嫌ね。でも、わたしと2人だけになりたいと思う男の気持ちって、わからないわけでもないけどね。


 たまたま、帰り道が同じだったから、一緒に歩いて帰ってあげた男がいる。その男ははじめてわたしとふたりだけになって、少し緊張していた。うぶな感じの男だったから、何もしてこないだろうと思い、わたしの家の近くまで送らせてあげた。わたしとふたりだけの時間を少しでも長く過ごせたのだから、彼もうれしかったのでしょうね。あまり家の近くまで送らせてあげると、何か勘違いしてあとで面倒なことになると嫌なので、そこそこ近くまで来たら、男にはお礼を言って、帰らせることにした。


 そうしたら、男はわたしを呼び止めて、告白を始めた。わたしのことが前から好きだったらしい。わたしにはその気がないから、軽く受け流して帰らせたけど。彼はわたしの部屋に入りたかったんでしょうね。わたしにやさしくされたかったのだろうと思う。


 男って、好きだと言う気持ちと、セックスって切り離せないものだから、好きだっていうことは、わたしとセックスしたいということなのよね。もし、その男をわたしの部屋に入れてあげたとしたら、男は余計に妄想を抱いていたでしょうね。わたしとキスをして、わたしを抱きしめて、わたしと裸で抱き合う。そして、わたしの膣に自分のペニスを入れて射精する。男って、ちょっと部屋に入れてあげただけで、そこまで妄想してしまうみたいね。


 あまり期待させるのも嫌なので、どんな飲み会に行っても、わたしはお開きの時間の少し前には、必ず帰ることにしている。そうすると、一人でゆっくりと帰ることができる。何人かの男たちは、わたしと一緒に帰ろうと狙っていたみたいで、わたしが先に一人で帰るのを知って、狙った魚に逃げられた気分なのでしょうね。


 でも、わたしが男とふたりきりになってあげるのって、そんなにたやすいことだと思われても困ってしまう。たかが、帰る方向が同じなくらいで、なぜわたしとふたりきりになれるなんて思ってしまうのでしょうね。思い上がりもいいところだと思う。